青葉真司の小説とyoutuberの炎上商法
◆ 世の中のルールや倫理観が鼻で笑われる時代
世の中にはルールがあります。
盗んではいけません。
殴ってはいけません。
このルールがなければ、腹が減ったら他人の飯を盗み、腹が立ったら目の前の人間を殴ればいいという世の中になる。
これでは安心して生活できない。
いつも他人を警戒して四六時中びくびくしながら生活しなければならない。
だからこそルールがあって、人はそれに縛られる代わりに、安全と安心を保証される。
でも、最近思うのは、「やったもん勝ちの世の中になってきた」ということ。
例えば最近では、青葉真司の京アニ事件が大ニュースでした。
彼は自分の小説を京アニに応募しており、それを盗まれたと思い込んでいた。
34人を焼き殺したその男は生きており、手厚い治療を受けて回復しています。
もし完全に回復しても、34人殺したら死刑でしょう。
しかしそれは、責任能力があると判断されればの話。
彼は精神に病を抱えて治療を受けいていたとの報道があります。
それが原因で死刑を免れる可能性がある。
そして、ある日、事件の原因となった青葉真司の小説が発売されたとする。
間違いなく売れるでしょう。
これほどの、日本中、いや、世界中を驚愕させた大事件の犯人が書いた小説ともなれば、興味を持つ人がたくさんいる。
売れれば、とうぜん莫大な金が彼のもとに入ることになる。
青葉真司が、34人を焼き殺したことにより、大金持ちに大逆転する。
それがまるきりありえない話だと言い切れないのが今の世の中の怖いところ。
実際にこういうことは過去に何度もあった。
酒井法子の『贖罪』
市橋達也の『逮捕されるまで 空白の2年7カ月の記録』
少年Aの『絶歌』
これらの本は、すべて一時的にですが話題になり、売れました。
彼らは、薬物乱用したり、人殺しをしたりして、それをネタに本を書いたことにより、大金を手に入れたのです。
倫理もくそもない。
やったもん勝ちの世の中。
それが今の世の中なのだと思います。
◆ 僕が炎上商法が嫌いな理由
僕は、炎上商法が大嫌いです。
youtuberでもブロガーでも、炎上商法に手を出して有名になろうとする者は後をたたない。
ちょっと前なら「渋谷スクランブルにベッド」の彼(名前忘れた)。
最近では、セクハラ狂言で世間を騒がせたDJ社長。
「渋谷スクランブルにベッド」の彼は書類送検されたし、DJ社長は謝罪した。
だからいいじゃん、やったもんがちじゃあないじゃん。
そう言う人もいるかもしれない。
しかし、会社員ならそれがもとで解雇されるかもしれませんが、youtuberが書類送検された程度では大して痛くもないでしょう。
DJ社長については謝罪で終わりなんで、実質無傷です。
ここで重要なのは、「それまでは存在すら知らなかった僕が、彼らのことを知った」という事実です。
名前さえ知れ渡れば、動画でもブログでも来訪者が増えます。
彼らはそれが収入に直結するので、炎上したことにより、知名度=大金を手に入れることになったでしょう。
この図式、犯罪者が本を出して大金を稼ぐのに似ているのではないでしょうか。
そして、重要なことがもうひとつ。
世の中には、まともな判断力を持ち合わせていない人が結構な割合でいる。
人間の何割にかは「どうしようもない人」がいます。
「まともな人」は、正常な倫理観により、炎上商法で稼ごうとする彼らを批判するでしょう。
しかし「どうしようもない人」は彼らを擁護したり、「まともな人」を逆に批判したりします。
DJ社長の動画のコメント欄を読んでみました。
批判の言葉でいっぱいかと思いきや、擁護の言葉が驚くほど多かった。
「びっくりするようなことをやってくれるDJ社長は痛快!!」
「今回の企画も最高でした。おもしろさを理解できないのに批判してる人はなんなのかな?」
すこんな感じの、なんだか残念なコメントでした。
youtuberたちは、炎上で99万人に批判されても、1万人の新規視聴者をGETできれば大勝利なのです。
「まともなひと」が99%で「どうしようもないひと」が1%だとしても、その1%を取り込めれば大勝利。
やったもん勝ちの世の中ですよね。
僕は、やっぱり尊敬できる人、正しい行いをしてきた人にお金を稼いでほしいと思っています。
でも、いまの世の中、犯罪だの迷惑行為をやって注目を浴びた者が勝ってしまう世の中になってしまっているのではないでしょうか。
そしてその姿を見た子供たちは何を思うのでしょうか。
いくら学校で倫理を教えようが、情操教育に力を注ごうが、炎上で成り上がるyoutuberの姿はそれらをすべて無意味にします。