死亡寸前、ガラガラの飲食店 緊急事態宣言がもう一度出ればお陀仏
◆ その街の景気を一番ナマで実感するのはタクシードライバー
タクシーの仕事をしていると、景気に敏感になる。
客の多さ、町を歩いている人の数、道を走る車の量、客の会話......。
客を呼びに飲食店の中に入っていくことも多く、店内の様子もよくわかる。
その瞬間の街の景気がどんな感じなのか、一番リアルタイムで、肌で実感しているのがタクシードライバーだと思います。
そして、コロナがどのように街や人々に影響を及ぼしているのかを、最も近くで観察しているのもわれわれタクシードライバーだと言っても過言ではないでしょう。
◆ 緊急事態宣言の頃の名古屋はとんでもなかった
緊急事態宣言のころの街は、本当に死んでいました。
人も、車も、光もない。
あんな名古屋の街を見るのは、後にも先にも二度とはないと思います。
夜になれば人と車で溢れた錦は静まり返る。
客もいない、歩行者もいない、車もない。
ほとんどの店は営業しておらず、いつもはピカピカの電飾が暗い。
深夜になっても交通量の絶えなかった名駅に続く大通り。
深夜0時ちょうどだったとおもいます。
その大通りを走っていた僕は、目の前の光景に驚愕しました。
目の前に、車が一台も走っていないのです。
名駅方面に走っていたのですが、対向車線にすら車がない。
通常時は24時間、びゅんびゅん車がひっきりなしに走っている場所です。
朝と夕方は、渋滞で動かなくなる。
0時台なら、帰宅する車やタクシー、これから長旅に出るトラックなどがいっぱい走っている。
そんな大通りに、視界の果てまで一台も車がいませんでした。
なんだか現実感がなく、夢の中にいるみたいでした。
◆ あの頃よりは活気があるが......
そして現在、go toの影響か、コロナに対する危機感が薄れたのか、人は街に戻ってきています。
一時期はずっと営業していなかったお店も、通常営業にもどしているとこは多い。
しかし、タクシーの売り上げで言えば、まだまだコロナ前の頃には戻りません。
そして、飲食店に関しては、客が戻ってきたお店とそうでないお店の差が激しい。
あるお店に入ったら、満席でワイワイガヤガヤやってる。
でも隣のお店は、外から見る限り、1人も客がいない。
そんなのをよく見ます。
そして、町を走っていると、どんどんお店が潰れていってる。
ほんとうに、凄い勢いでお店が閉店していきます。
◆ なじみの定食屋さんとの会話
僕がよく仕事中に食べに行く定食屋さんの店長と話をする機会がありました。
実は、7時とか、夕飯時に食べにいっても僕しか客がいないなんて事がよくあるので、ひそかに心配してる店です。
店員さんのサービスはいいし、うまいし、メニューも健康的ないい店なので、なんとか生き延びて欲しいと思っているお店。
店長さんもなんとか客をつかもうと、会計時に必死に声をかけたりされてます。
「今日もありがとうございました」
「あ、どうも。ごちそうさまでした」
「最近、景気はどうですか?」
「うーん、タクシーの方は、一時期よりはましになったけどまだまだですね」
「そうですかあ」
「やっぱりこのお店も影響出てますか?」
「まあ.....そうですねえ」
「そうかぁ」
「でも、東京とか大阪のお店はもうだいぶ売り上げも戻ってきてるんですよ」
(飲食店の全国展開をしているグループ会社です)
「へぇー」
「でも、名古屋はダメですねえ」
「それはなぜ?」
「うーん、やっぱり、名古屋の人は......」
「ケチ?」
「(笑)」
と、なかなか状況は厳しそうでした。
ヨーロッパでは、感染者数がここ最近増えて、外出禁止を考える国もでてきているとか。
日本でもこの冬に、もう一度緊急事態宣言が出されれば、その影響は計り知れないでしょう。